従業員を雇用したとき-人事労務管理のまとめ-

従業員からしてみれば、入社第一日目は重要な人生の転機となります。期待と不安を抱え出社してきていることを忘れてはいけません。
自社が獲得した従業員に力を発揮してもらうためには、まず会社と信頼関係を築く必要があります。
採用担当者、人事担当者の丁寧で細やかな対応がとても大切になりますね。

■ 入社時に必要な書類の基礎事項

入社時取得資料備考
1誓約書会社のルールをしっかり意識してもらい、会社を不測の事態から守るためのものです
2身元保証書従業員が重大な不始末を起こして会社に与えた損害について、身元保証人が本人とともに賠償する責任を記したもの※1
3入社承諾書入社意思を示す書類(内定証明として、入社意思確認)
4健康診断書雇入れ時の健康診断(労働安全衛生規則 第43条)※
5住民票記載事項証明書氏名・現住所・生年月日・続柄(労働者名簿を参考)
6源泉徴収票前職の退職時に受け取る書類(入社の年に給与所得のあった者にかぎります)
7給与所得者の扶養控除等申告書地方税法の規定により、給与の支払を受ける人は、毎年最初に給与の支払を受ける日の前日までに個人住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」を給与の支払者に提出しなければなりません。
8年金手帳の写し実物もしくは「基礎年金番号」の記載されたページのコピー
9雇用保険被保険者証の写し紛失していた場合は再発行も可能。「身分証明書」と「印鑑」を持参して、最寄りのハローワークで手続してもらうことができます
10給与振込口座申請書社内様式を用意しておきましょう
11個人番号通知書または個人番号カードの写し(マイナンバー)扶養家族がいる場合は扶養家族の個人番号に関するこれらの写しも含む
12通勤経路届社内様式を用意しておきましょう
13運転免許証
14資格証明書(学業成績証明書)
15卒業証明書の原本提示と写し

身元保証契約※1は、期間を定めていなかった時には3年、期間を定めたときは最長5年となり、自動更新は無効となるため、必要があれば期間満了時に更新が必要となります。雇入れの健康診断※2は、労働安全衛生法66条・労働安全衛生規則第43条に基づいて、雇入れ時には一定の項目について、医師による健康診断を行わなければなりません。これは事業者に罰則付きで課されているものであるため、是正されなければ50万円以下の罰金(安衛法120条1項)を科すとしています。

なるほど……、ほかにも社会保険や税務用に必要なものがあったりしますね。ちゃんと提出もしてもらいましたし、つぎは社会保険・雇用保険の手続ですね。

■ 社会保険【厚生年金・健康保険】の加入手続き

被保険者資格取得届は、1枚で厚生年金と健康保険・介護保険の手続ができます。

提出書類被保険者資格取得届
提出先所轄年金事務所(事務センター)または健康保険組合・厚生年金基金
提出期限社員として採用した日(資格取得日)から、起算して5日以内
添付・確認書類・個人番号または年金手帳(事業主が基礎年金番号を確認できれば不要。確認できない場合は、運転免許証等で本人確認が必要)
・年金手帳再交付申請書(基礎年金番号が不明な場合)
・被扶養者(異動)届(被扶養者がいる場合)
・60歳以上の者は年金証書
・定年退職後、新たに雇用契約を結んだ場合、事業主の証明書

■ 雇用保険の加入手続き

加入要件には注意が必要です。
正社員は一般的に加入が必要となります。
有期雇用・パートなどであっても下記要件のすべてに該当するものは、加入が必要となります。

①1週間の所定労働時間が20時間以上の者
②31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者

提出書類雇用保険被保険者資格取得届
提出先管轄のハローワーク(所轄公共職業安定所所長)
提出期限社員として採用した日の属する月の翌月の10日まで
添付・確認書類従業員の雇用保険被保険者証

労働安全衛生規則 第43条 (雇入れ時の健康診断)

事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない
 1.既往歴及び業務暦の調査
 2.自覚症状及び他覚症状の有無の検査
 3.身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
 4. 胸部エックス線検査  
 その他7項目

労働安全衛生法 66条・120条(健康診断)

第六十六条一項 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない。

第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。……第六十六条第一項から第三項まで、……。